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コラム

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2023/08/21

今、なぜスマートシティに取り組むのか?

〜名護発、真の地方創生モデル実現に向けて〜

「一社法人名護スマートシティ推進協議会」の公式サイトをご覧いただき、誠にありがとうございます。本コラムでは、スマートシティに関する様々なテーマについて、背景や課題を解説し、当協議会メンバーの意見や考えをコラムとして掲載します。第一回目として「そもそもスマートシティとは何か」そして「スマートシティに取り組む意義」についてお話ししたいと思います。

皆様は「スマートシティ」という言葉を聞いたことはありますでしょうか?
その名の通り「スマート(最先端の、進化した)」と「シティ(都市)」を組み合わせた言葉です。
諸説はありますが、もともとスマートシティは、人口流入によりメガシティ化の一途をたどる欧米の都市において、受け皿としての都市インフラをデジタル技術やデータを用いて高度化することで人口増加に対応することを目的として始まったと言われています。また、特に陸続きのヨーロッパではこういった先進的なまちづくりを都市のセールスポイントとしてアピールすることで企業誘致や優秀な人材の確保を図った結果、バルセロナ(スペイン)やコペンハーゲン(デンマーク)などの世界的にも名だたるスマートシティが生まれてきました。

対して日本の都市では東京以外では人口は減少傾向にあり、現状東京一極集中を背景にヨーロッパほど激しい都市間競争が起きていないこと、また狭い国土の中に1億人もの人口を抱えてきた経緯から、結果的に「スマート」なまちづくりがなされてきたこともあり、スマートシティという分野では国際的に後塵を拝してきたのが実情です。とはいえ、日本に住んでいると割とどこのまちでもそれほど不便を感じることは少なく、「今のままで良いのでは?」と考えてしまう方たちが多いのもまた事実かと思います。

私はまさにこの「今のままで良い」という考えが都市のさらなる発展の妨げになっている可能性があると感じています。それどころか、この先特に日本の地方都市では「今のまま」の維持すら難しくなると考えています。このように考える背景 一つ目として、「スマート」の定義が技術の進歩により飛躍的に向上していること、ビッグデータやAIの活用によりこれまでの住みよさは過去のものとなりつつあること、があげられます。 二つ目に日本の地方都市もこれから都市間競争の波にさらされること、があります。日本にある約1,700の市町村の中で、なんらかのスマートシティ関連の取り組みを行っている自治体は既に1割を超えています。他の都市がどんどん進化している中、何もしなければ相対的に魅力度が下がり、人口流出は避けられないはずですので、今のままでいられる保証はありません。最後に、前述のように、少子高齢化の進行や地域経済の衰退により労働力・財源不足に陥り、「今のまま」の都市機能の維持・行政サービスの維持すら困難になってくることも、大きな要因と考えています。

名護市も、まさに現状に満足するのではなく「もっと輝く名護市」に向けて様々なチャレンジを続けており、スマートシティ実現に向けた取り組みもその一つです。
美しい海や山々など自然をはじめとする豊富な観光資源、名桜大学や国立高専などの優秀な若者が集う教育機関、そして「まちなか再開発」などのまちとしてのさらなる進化への姿勢など、これほど地方創生のための要件が揃う地域は国内でもそう多くは無いと感じています。

私たちKPMGコンサルティングは、日本の国力回復、国際競争力向上のためには真の地方創生の実現が必要であり、「響鳴都市:名護」を基本理念に掲げスマートシティを推進する名護市の取り組みは、まさしくそのモデルになり得ると確信しています。
皆様、ぜひ一緒に響鳴し、「スマートシティ名護モデル」を実現しましょう!

著者紹介

KPMGコンサルティング株式会社 ディレクター 

三村 雄介