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2024/02/08

EBPMとは何か

■イントロダクション
「EBPM」という言葉を知っていますか。
日本語では「根拠に基づく政策立案」と訳される考え方で、要するにデータ(根拠)を基に客観的かつロジカルに政策立案を行うというものですが、何も公共事業に限った話ではなく、民間企業の意思決定にも適用できる考え方です。
日本において、EBPMが本格的にテーマとして浮上したのは、2015年の骨太の方針でした。その中で「エビデンスに基づく PDCAの徹底に重点的に取り組む」とされ、勘や経験といったいわゆるストーリーベースの考え方からの脱却が重視されるようになりました。

■EBPMとは
EBPMとはどういうものなのか、具体的な事例を基に見てみましょう。
ここに、ごみの不法投棄をどうにか解決したい自治体がいたとします。解決策としては、ごみステーションにネットを設置することや、見回りを強化すること、注意喚起のボスティングをすることなどいくつか考えられると思いますが、どの施策を採用すべきかをデータをもとに検討し、意思決定するのがEBPMです。

例えば、いくつかのごみステーションをグループ分けし、グループごとにこれらの施策を講じ、実際に一定期間試してみて、何もしないグループとの比較を行い効果を検証するといったデータ収集・分析のフェーズを経ることで、「なんとなく」から脱却した意思決定ができるようになります。

実は、これは神奈川県葉山町の「きれいな資源ステーション協働プロジェクト」にて、実際に取り組まれた事例で、ランダム化比較実験という手法を用いたものです。「葉山町きれいな資源ステーション協働プロジェクト概要」

ちなみに、EBPMにおける「エビデンスとは何か」という点ですが、一般的には以下のようにエビデンスのレベルが定義されています。

■政府の姿勢
このように、いくつかの自治体ではすでにEBPMを意識した取り組みが進められていますが、現状EBPMが中心的に叫ばれているのは中央省庁です。現在、政府全体でEBPMを推進する体制として、内閣官房行政改革推進本部の中にて「EBPM推進委員会」が開催され、令和5年4月の会議では以下のような内容が提言されています。

これらの方針に基づき、各省庁を支援するための施策としてEBPMガイドブックやEBPM補佐官制度などが用意されており、政府としてもEBPMを押し進めていく姿勢が見て取れます。

■EBPMとスマートシティの相性
現状、国から自治体への「EBPM」を明記した明確な通達等は発出されていません。しかし、政府を挙げてEBPMを推進していく以上、いずれは自治体の意思決定もエビデンスを基に行うことが求められていくことは容易に想像できます。
そうなった場合、重要なのはエビデンスの対象となるデータの収集です。現状、自治体が比較的容易に揃えられるデータは、総合計画等で定義したKPIの時系列データや市民アンケート調査の結果などでしょう。これらのデータも非常に重要なものであることは間違いないのですが、本来は、詳細な分析をするためのタイムリーなデータが必要になってきます。
スマートシティに取り組む自治体は、たとえば、街灯に人感センサを取り付けてタイムリーに人流データを収集したり、ウェアラブルデバイスにより市民のバイタルデータを取得したりと、従来の自治体よりもデータ収集が容易になってくるでしょう。そういった意味でEBPMとスマートシティは関係性が深く、相性が良いと言えます。

スマートシティの先進地域の中から「EBPMの第一線の地域」が登場するのは遠い未来ではないでしょう。それが名護だと言えるように、当協議会でもEBPMを意識したスマートシティ推進を進めていきたいところです。

著者紹介

一般社団法人名護スマートシティ推進協議会

須藤一磨

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